Bがホワイトハウスに招かれたのは、大統領のアドバイザーだったNがハーバード大学に帰ってしまい、その彼が要請したのだと二○○五年一○月四日、B大統領はGFRB議長の後任に関して、「任命される人は、その仕事ができて、かつ独立した人となるだろう」と述べた。
そして一○月二四日、大領は、Bを二○○六年一月末に任期が訪れるGFRB議長の後任とし市場でパニックや危機(例えば一九八七年のブラックマンデーや九八年のLTCM危機)が生じた時に頼もしく対処できる"クライシス・マネージャー"という観点を重視して面接を進めてBの任命をウォールストリート関係者は歓迎した。
彼らの多くが抱いた感想は「B大統領がひどい縁故人事をしなくてよかった」という安堵感である。
B政権はそれまで、大統領選挙で功績のあった側近に政府関連の要職を分け与えてきた。
FRB議長という要職を、大統領が"お友だち”に任せてしまったら世界経済は混乱してしまうからである。
しかしながら、水面下では紆余曲折が存在したようだ。
ワシントンやウォールストリートで流れていた観測やニューヨークタイムズなどの報道を総合すると、次のような流れが存在したようである。
いたホワイトハウス高官の間では、Bの評価は必ずしも高くなかったと伝えられている。
このため、対抗馬として、Dインド大使(元財務次官国際問題担当)やR委員長(元ハーバード大学教授)といった名前も一時メディアでは噂に挙がっていた。
また、B政権を支えてきたサプライサイド重視派は、BよりもR・GやM・Sを支持していた。
さらに、A・GFRB議長は、彼を長年"右腕”としてサポートしてきたD.L・CFRB理事を、次期議長に推薦していたという。
しかしながら、B政権は一○月中旬に危機的な状況に直面していた。
九月のハリケーン・カトリーナ被害への救済策は世論から強烈に批判されていた。
さらに最高裁判事に"テキサス人脈”であるハリー.H(彼女は判事経験を持っていない)を指名したため、民主党だけでなく与党共和党からも轟々の非難を受けていた。
B大統領はこのタイミングで新たな災厄に巻き込まれたくなかった。
そこで、彼自身や彼の側近が満足する人物よりも、ウォールストリートや議会が納得し、B政権の好印象につながる人物という観点でBを次期FRB議長に選んだという。
二○○五年二月一五日、上院銀行委員会の開催前にBに対して公聴会インフレ・ターゲットに反対する議員との摩擦を極力回避した結果、Bは無事彼らの支持を得ることができた。
そして、二○○六年一月三一日、G議長が退任する当日に、上院銀行委員会は発声投票によってB・Bの第一四代FRB議長就任を正式に承認した。
発声投票が行われたのは、明らかに賛成多数だったためである。
反対はJ(共和党・ケンタッキー州)一人だけだった。
同議員の異色のコメントを紹介してみよう。
「G議長はいつも金利を引き上げすぎて失敗してきた。
歴史が示している。
私は過去一年以上もFRBに大きな懸念を抱いてきた。
FOMCは集団思考に陥っていて、誰も議長に挑戦しないようだ。
Bのキャリアは非常に素晴らしく聞こえる。
しかし、それは悪夢にもなり得る。
私は、彼がアカデミックな象牙の塔の理論を多く持ちすぎないように希望する。
ドクター・BがGの政策を継続することが必要だと思っていることは、本当に皮肉なことだ。
それは正しくない。
悲惨なことになるだろう」。
議長を含むFRB理事は、年一回、近親者を含めた保有金融資産を公開しなければならないFRB理事の中で最も資産家なのは、S理事だ。
彼女の前職はファースト・テネシー銀行の幹部だった。
理事に就任する前年の二○○一年末は推定下限七五○万ドル、推定上限三○五○万ドル。
しかし、理事になるとFRBが監督する銀行のストック・オプションなどは保有できない。
その後、それらを手放して公開対象外の資産にシフトさせたらしく、二○○四年末の金融資産は推定下限七一○万ドル、推定上限一七六○万ドルとなっている。
D・C理事は、他の理事と異なって、FRBスタッフからの%き上げである。
やはりというべきか、理事の中では金融資産は最も少ない。
推定下限五○万ドル、推定上限一三B新議長の金融資産は二○○三年末時点で、推定下限三○万ドル、推定上限五六と回顧録で述べている。
「私の資産価値が公開情報となり、しかも投資スキルが同様に公衆に開陳されるのだ」。
預金、債券、投資信託、年金など投資対象の具体名まで明かされてしまう。
F社は、毎年各理事の金融資産総額を公開情報からマニアックに集計している。
それによると、二○○五年九月に公開された二○○四年末のG議長の金融資産(夫人保有分も含む)は推定下限四一○万ドル、推定上限八九○万ドルだった(各金融資産の額が商品ごとにレンジで表されているので、レンジの下限を合計したものが推定下限、上限を合計したものが推定上限となる)。
彼は金融資産の九五〜九六%を短期国債を投資していた。
利回りは低いが、あらぬ誤解を受けたくなかったのだろ二○○五年二月一五日の上院公聴会におけるBの証言を検証してみよう。
議会における発言は非常に重い意味を持っている。
Gですら、実績を積み上げるまでは議会対策に苦労していた。
この場におけるBの発言は、今後数年間の彼の金融政策スタイルをある程度方向付けるだろう。
新米の議長がいきなり上院と対立することはリスクが大きい。
また、上院における議員とFRBとの緊張関係の実態は日本ではあまり知られていない。
各議員の発言を詳細に見てみることは日本の市場参加者にとっても参考になると思われる。
とも、G前議長は退任直後の数週間に立て続けに講演を行い、数十万ドルを稼いだと報じられている。
二○○六年二月七日の大手証券会社主催夕食会での講演会(聴衆は重要顧客一五人)のギャラは二五万ドルだったという(ニューヨークポスト二○○六年二月九日)。
この公聴会では、R委員長(共和党・アラバマ州)ほか一二名の上院議員の大多数が、まずはFRB議長職の影響力の大きさに敬意を払っている。
民主党議員は、Bに対して、ホワイトハウスからの独立を強く求めていた。
前述のようにFRB議長の判断は米国経済に大きな影響を与えるがゆえに、FRB議長がホワイトハウスに従順な場合、野党にとって脅威となるからである。
あなたは、大統領のために働いていた。
あなたは大統領によってCEAに選ばれた。
同様に彼によってFRB議長に任命された。
FRB議長にあなたが承認されたときに、あなたが独立することは非常に重要である。
P。
理事の任期が一四年と長いのは、政府の圧力が届かないようにするためだ。
特に重要なのは、危機に直面した時に、市場はFRB議長が信頼できるかに集まっている。
議会が新しい議長の承認を行うのは二○年近くなかったことである。
議長職は政府のひとつの仕事というだけでなく、明らかに国民経済に関わる最も重要な仕事である。
FRB議長の職はすべての国民の生活にとって非常に重要である。
そのポジションはワシントンでは二番目にパワフルといわれている。
全般的には聴聞開始当初から、Bを歓迎する空気が委員会に流れていた。
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